ろくに片づけられない本棚

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【映画】「罪の声(2020年)」を見ました。【ネタバレなし】

犠牲になるのはいつも―

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原作本の表紙が好きすぎてだな・・・で落書き



監督:土井裕泰

原作:塩田武士(講談社文庫「罪の声」)

公開:2020年10月30日

ジャンル:ミステリー、フィクション

ざっくりあらすじ:1984年、関西圏で誘拐・脅迫・毒物混入と食品会社を標的とした一連の事件が発生。関西弁を混じえた脅迫文書、子どもの声を使用した身代金要求、どこか掴みどころのない――犯人はユーモア混じりに警察・マスコミを煽り、世間を賑わせた。攻防は一年以上続いたものの犯人逮捕に至らず、事件は未解決のまま時効を迎え「戦後最大の未解決事件:ギンガ・萬堂事件」として多くの人々の記憶に刻まれた。

 そんな「ギンガ・萬堂事件」から35年、平成から新しい元号を迎える頃、大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)はこの未解決事件の真相を探る特別企画班として取材に各地を飛び回る毎日を送っていた。同じ頃、京都市内で紳士服のテーラーを営む曽根俊也(星野源)は父の遺品から「1984年」と書かれたカセットテープと大量の英文に「ギンガ」「萬堂」の文字が書かれた黒革の手帳を見つける。カセットテープを再生すると、聞こえてきたのは身代金の受け渡し場所を告げる幼い頃の自分の声であった。

 

TVドラマの「アンナチュラル」と「MIU404」のヲタクなので当然見てきました。このチームなら、原作と乖離することも無いだろうと全幅の信頼を寄せているので敢えて原作読みませんでした。その代わり、この作品の事件のモデルとなった「江崎グリコ・森永事件」をちょろっと調べてから見ました。事件当時、私はこの世に生を受けておりませんでした………この年表とか抑えてたらどれだけ残忍で奇妙な事件が分かるかと思います。

https://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/file001/glico-morinaga/history.html

有名な劇場型犯罪なので名前とか概要とかは存じ上げておりましたが、憶測とか調べれば調べるほど気味が悪いですね…

 

でやっと作品の話なんですが、ジャンルはミステリーです。点と点が繋がって真相と強烈なメッセージが浮かび上がる……ミステリーらしいとてもシンプルで洗練された展開の脚本は流石野木先生というか。原作もめちゃくちゃ面白いんだろうなと思います。購入はしているのでまた読み終わったら映画の話の構成をちょくちょく混じえた感想書きます。

 

というわけで今回は役者さん中心に主に演出のことを書こうかなあと思うんですが……まずビックリするぐらいキャスティングが「アンナチュラル」と「MIU404」の…らしい、というからしすぎる!!何も事前にキャスティング見てなかった(調べたけど忘れてた)のも悪いですけど橋本じゅんさん出てきたところで「ええ!?」ってなった。劇場もざわついていました。めちゃくちゃハラハラさせられる役どころです。こういう人いるよね〜と思わせるのはさすが。

 

主演お二人について。別々の立場から真相を探っていく感じでお話が進むんですけど星野源の京都弁が自然で優しくて「あ、あの東山ら辺の商売人の上品でええとこのやつや〜」ってなりました(えせ京都生まれより)。方言指導の方、ありがとうございました……人柄は大変な人たらしです。この人たらしに、とても頭と口がまわるクールな男前の小栗旬が映えます。あと曽我さんは阿久津さんに軽率にそういうことを言ってはいけません……なんだこの二人の世界(敬称略ですみません)。

 主演お二人の綺麗どころの光る演技が目に入るのは当然なんですけど、何よりこの役者さんの存在が欠かせない――宇野祥平さん………!頭の先から爪先までかんっっっっぺきでした。超絶ネタバレになるかもしれないので何も申し上げられないんですけど一言だけで言うと「なんじゃこの再現度」です。演技に衣装も合わさって気持ち悪い(※褒めてます)ぐらいそれで大変な存在感でした。制作陣の拘りが垣間見えました。個人的注目ポイントは道頓堀でのシーンの彼の靴です

 舞台風景の明暗、過去現在と対比がよくわかる作品でもありました。80年代の映像と音声の使いどころが気味悪さをさらに際立たせます。「声」に焦点を当てた作品なだけあって音声にかかわるアイテムが映える音声・映像になっています。

 

センセーショナルで過激な事件の舞台の影で傷つき悩み苦しんだ人々の物語を丁寧に紐ほどき、彼らにふさわしい構成・役作り・映像美術・音声技術・衣装で彩った職人の「技」が光る映画でした。

 

それだけに私の頭が冴えまくって早い段階でオチが分かってしまったの辛すぎた・・・

原作読みましたらまた物語の内容にも触れた記事を書きますのでそれまで、また。。。