ろくに片づけられない本棚

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【映画】「悪魔の手毬唄(1977年)」を見ました※ネタバレ無し

前近代感が残る当時の田舎の世界観がすごい

 

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映画のポスター?よりDVDのパッケージの方がかっこいい()

監督:市川崑

原作:横溝正史悪魔の手毬唄

公開:1977年4月2日

ジャンル:ミステリー、サスペンス

ざっくりあらすじ:岡山県警の磯川警部(若山富三郎)の依頼で20年前に起きた殺人事件の調査を依頼され岡山県の鬼首村(おにこうべむら)を訪れた私立探偵の金田一耕助石坂浩二)は、村に伝わる手毬唄になぞらえた連続殺人事件に遭遇する。

 

 「アンナチュラルのアマゾンプライム配信見放題終わるやん」とドラマ視聴5周目キメていたらPrimeVideoくんが「これも見たらええよ」って勧めてくれたので見てみました。横溝正史先生の原作は読んでおりません。今絶賛有栖川有栖先生の「作家アリスシリーズ」読破目指して邁進しているところですが、作品内にちょくちょく過去の推理小説の名前が挙がっていたりするので読むか見るかしてみたいなとも思っておりました。名作傑作ってほんときっかけがないと読まない見ない性分で・・・といいつつ嫌々見たくはないなとも思う今日この頃。。。

 

 横溝正史先生の金田一シリーズは様々な方によって何度も映像化されてて「石坂浩二版の犬神家がいい」とかどうとかよく聞いて(SNSか?)ました。「犬神家の一族」は確か遠い昔(小学生ぐらい)に稲垣吾郎のドラマの方を見たんだったか。。。とにかく演出が気持ち悪かったという印象だけ強烈に残ってます(湖で逆立ちしてるやつと菊人形)。それ踏まえて今回の「悪魔の手毬唄」です。「犬神家の一族」と共通してるのは家紋だったり童謡だったりになぞらえて殺人が起こるいわゆる「見立て殺人」にどちらも分類されることですね。金田一シリーズの鉄板なのかな。

見立て殺人 - Wikipedia

 あととにかく関係図がややこしいですね、この人はこの人の子どもで誰それの家の子と結婚する予定だとか家同士仲が悪いとか・・・金田一さんの推理の仕方はこの関係図を整理しつつ、過去を探って「誰が殺人を犯すことで得をする、悲願を遂げられるか」と事件現場の状況よりは動機を探る側面が大きいですね。犬神家もそうだった気がする。。。遺体発見現場が壮絶な演出してる割にあっさり現場検証終わるなあと思いました。

 

 物語の内容はさすがに原作の知名度からして保障されているとして、なんといってもこの作品の魅力は演出ですよね。フィルム映画らしい暗めの映像も相まって、古い因習の残る田舎の雰囲気が出ています。黒一色の画面に白で力強いフォントで書かれるクレジットは白黒映画を想起させ、そののちに白黒のインサートが入る演出がスリルを味わわせてくれます。

 それでもってとにかく遺体発見現場の凄惨さがまあとにかく映える。手毬唄になぞらえて様々なアイテムが登場するのですが、「ふつう死んでるところにそんなもん置かんやろう」というそれらと遺体の対比、不釣り合いさが気味悪いです。遺体のシーンは見終わってみると短いシーンですが、インパクトだけでもって強烈に印象に残らされてしまいます。なにも、シーン引き延ばすだけ延ばしたところでインパクトがなかったら印象残らないものは残らないですもんね・・・監督すごいな。それだけあって遺体発見現場はあっさりで関係探りまくる金田一さんがちょっと滑稽なようなーーーそれが彼の魅力でもあるのでしょうか。

 

 のちの映像作品に大きな影響を与えた作品であることは間違いないかと思うので、今後の映像作品視聴でも気にかけてみたいと思いました。