ろくに片づけられない本棚

気ままにSNSで気になったこととか本とか映画とかゲームとか漫画とか作品の話がしたい。美しいものが好き。

【漫画】「アクタージュact-age(全12巻)」を読みました

未完。

ジャンプとしては異例の題材、内容は紛れもなくジャンプ。

 

漫画:宇佐崎しろ

(原作は別の人)

連載期間:2018年~2020年

ジャンル:少年漫画

ざっくり内容:天性の演技の才能を持つ少女が女優として成長する姿を描いた漫画。人気作品だったが残念すぎる経緯で連載打ち切り、絶版。

 

あんなことhttps://news.yahoo.co.jp/articles/a25d213464a744c20dac839622b7589b78ee0aabになって「絶版なるぞこれ」と紙で揃えていたのですが未だに12巻だけ手元になく、これだけ電子です。中古高いけど買っておきたいなあ……

 

身近に絶賛している方が何人もいらしていて「いつか読もう」状態でしたので、きっかけとしては最悪でしたがなんやかんやで読めてよかったです。少年ジャンプ作品は(スポコン系がそんなに得意ではなくて)かなり久々に読んだのですがめちゃくちゃ面白い………面白かった………キャラクターも魅力的だし演技のシーンの情熱的な美しさ、演技手腕・演出の技法も決してくどくない程度に解説が入り、才能・技術の殴り合いはある種のバトル漫画のような印象を受けました。題材は変り種ですが、「これが週刊少年ジャンプで連載すべき作品です」と強く訴えかけられるような作品。

 

主人公で駆け出し女優の夜凪景ちゃんと「天使」こと若手トップ女優の百城千世子ちゃんの決して単純ではない関係性がとても好きです。10代の女の子の関係性の複雑さがなかなか上手いこと表現されてるんだなこれが………お話で好きなのは「銀河鉄道の夜」かなあ。憑依型の明神阿良也とメソッド演技の景ちゃんの違いがよく分かるというか。あの単行本の章末に紹介されている登場人物プロフィールに「好きな作品」の紹介されてたのがなんとも素敵でとても好きでしたね。色々な伏線が張られ、これからCM、映画、MV、舞台、とステージを変えながら主人公達の成長を見届けられたんだろうなあとは思いますが………

 

社会のルールなかでも法律を破る、守るべきものを深く傷つける行為は許されざる行為です。いくら才能がある方であっても罪の重さは変わりません。当然の結果だと思います。「作者と作品は切り離すべき、だから絶版なんて」って話がたまに出たりしますけど、作品が作者の血肉を削って作られている以上は切り離して考えるのは到底無理な話だなあ…実際作中で私も「あ、だからあんな表現だったり発言が作品に出るのか」ってちょっと考えちゃったりしてしまったし。今回は原作者でしたけどなにも作者だけでなく編集者、読者、広報、実写化するなら演者…と作品に関わる全ての人に言える話です。作品ってどんな姿形をしていても人間たったひとつたったひとりの行動で脆く崩れ落ちるものだと思い知りました。

 

先日も俳優業界で逮捕があってマジでえらい目に遭ったけどほんと、人間って弱い生きものだからさ……弱いものを守るためにあるのが法律であり規則でありルール。強くありたいなら当たり前に守れ自分が弱くて打ちひしがれそうなら社会保障諸々の支援に頼れそれも出来ずに守れなかったら…………然るべき審判を受けるしかありません。

 

物語が辿るはずだった本来の道が消え去った以上、夜凪景たちの冒険を再び見ることは決して叶わないことではありますが、私たち読者が各々「ひょっとしたらこうなるかも」と思い描いた物語なら彼らのための新しい道になってあげられるかもしれませんね。想像の世界でだけでも冒険を続けていて欲しいと願います。それが作品のための供養になるかと。

 

あと、「いつか読もう」とか「いつか見よう」じゃなくて思ったらすぐに読んですぐに見るの大事だわほんま……いやでもそんなんずっとし続けるのしんどい疲れる………

 

宇佐崎しろ先生の今後のご活躍を祈念いたします。微力ながら応援させていただきます。