ろくに片づけられない本棚

気ままにSNSで気になったこととか本とか映画とかゲームとか漫画とか作品の話がしたい。美しいものが好き。

【映画】「チェリまほTHE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」を観ました。※ネタバレなし

腐女子だけのBLは、誰かのありふれた物語に

監督:風間太樹

原作:豊田悠「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」

公開:2022年4月8日

ジャンル:ボーイズラブ、ラブコメ

ざっくりあらすじ:童貞のまま30歳を迎え、「触れた人の心が読める魔法」を手に入れたサラリーマン・安達(赤楚衛二)と社内の人気者で仕事も出来る黒沢(町田啓太)は恋人同士。幸せな日々の中、ある日安達に転勤の話が舞い込む。豊川悠 作の同名タイトルコミックが原作の実写ドラマが深夜帯にもかかわらずアジアを中心に世界中で大ヒット。今作はその続編にあたる。

 

大変お久しぶりでございます。

1年ほど滞ってましたけど、転職したり遊んだりしてどうにか生きてましたよ!飽き性だからブログ放置するの目に見えてたんですが今回はどうしても書いておこう!と思ったので久々の投稿です。気まぐれがすぎる。

 

テレビドラマ終わってからテレビ局に「続編見たいです」とメッセージ送るなんて、人生初めてのことでした。

ドラマ版から同じ監督でしたけど、映画作る人なんだなー、と大きい画面に映る物語を観て思いました。寄りと引きの映像の見せ方が「映画だ〜」って感じがしたんですよね。美しかったです。主役の二人だけでなく、キャラクターが全員がドラマ版から相変わらず愛おしい。

 

お察しの通り、私は10年来のボーイズラブ(以下、BL)好き、いわゆる腐女子と呼ばれる人間なんですけども、10年前当時は、色んな作品が映像化して世界規模で社会現象起こすなんて考えもしてませんでした。BLは腐女子だけのもの、だと思い込んでいたから。

実際、「腐女子」って言葉から分かるように、世間的(特に2ちゃんねるのようなインターネット界隈)にはBL好きってあまりいいイメージなかったように感じます。実際人に話す時ちょっと恥ずかしいし、今も少し躊躇しちゃいます。

「どっちがどうですか?」とかあけすけに聞いてしまうようで、LGBTQ当事者の方からしたら不快に思われるかもしれない(実際そうかもしれない)と引きこもってファンタジー(フィクション)の世界ばかり愛していました……。どこか、現実帯びてきたら一気に夢から覚めてちょっと落ち込むみたいなことは割としょっちゅうあった気もします。

 

BLは、昨今のテレビドラマ等の映像化の流れで、こそこそしていた腐女子たちだけのものから不特定多数の誰かのものになりました。大切な人と一生を一緒に過ごすことができない人たちが、私たちの世界にはいる。議論が更に加速する好機が巡ってきたところでのこの映画、ファンタジーとラブコメの要素は残しつつ、現実的に、身近な問題へと踏み込んでいる内容になっていました。

当事者でないと想像しづらい問題を、上手く提示していてハッと気づかせてくれる。ひょっとしたら、今起こっている重大な問題に比べたら急務ではないのかもしれない。けれども「二人の幸せのために、何かしなくちゃ」と思わせてくれるような優しくも切ないようなそんな映画でした。

 

ただ、映画だけでは、かなり内容分かりづらい部分があります。のでお時間許す限り、前作のドラマ版をAmazonプライムNetflix等各種配信サービス活用して予習してから、映画館へ足をお運びいただければ、と思います。

 

※タイトルに「童貞」とありますが全年齢です

 

以下、ここ一年で読んでたり、今日の記事の土台にはなっているような本たち。

 

「ポストモラトリアム時代の若者たち(社会的排除を超えて)」

著:村澤知多里 他

http://www.amazon.co.jp/dp/479071571X

初版:2012年

私が初めて「腐女子」を学術的に捉えた本。ゼロ年代の話に近いかも。若者文化論、社会学

 

「正欲」著:朝井リョウ

http://www.amazon.co.jp/dp/4103330635

初版:2021年

「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して」から始まる衝撃的な台詞に代表されるように、ダイバーシティについて考えることに心抉られるような小説。

 

「「テレビは見ない」というけれど エンタメコンテンツをフェミニズムジェンダーから読む」著:西森路代 他

http://www.amazon.co.jp/dp/4787234862

初版:2021年

ここ最近のエンタメについて、フェミニズムジェンダーから語った本。歴史や国家間での比較もあって割とわかりやすい。

 

チェリまほ原作者の豊田悠先生がツイートでご紹介されていた活動。少額ですが寄付いたしました。

 

たくさんの「なんかいいな」があふれる世界に、少しでも近づけますように。

あけましておめでとうございます!

2020年大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします!

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こちらは3分で描いた年賀状です。

 

去年はゆるゆる気ままに書きだしたなと思ったら、アクセス解析の勉強ついでに週一で急に更新し出すとかしてたんですけど、今年はやり過ぎずやらなさ過ぎずの程よく更新にしたいなあと……GAIQ欲しいんですけどあれ難しくないですか()

 

去年は「おうち時間」を利用して映像作品、書籍に触れたりして精神的にとっても豊かな時間を過ごせたので今年もそんな時間を取れたら嬉しいなあ。

MIU404どハマりして大変だった、Blu-rayまで買ってシナリオブック片手に見返してます最高……

https://www.paravi.jp/title/53593

10月スタートの「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」実写ドラマも、そんなに期待してなかったけど「え、夢……?」ってぐらいメタクソよかった、よかった……(腐女子)

https://www.tv-tokyo.co.jp/cherimaho/

ありがとうテレビ局各種配信………今年も楽しく過ごしたいです。

 

近々見たい映画とかアニメとか書いておこ

「恋愛小説家(1997)」優しい気持ちになりたい

「ヤクザと家族(2021年1月公開)」綾野剛

BANANAFISH(2019)」めちゃくちゃ薦められた

 

それではまた〜

【美術】「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」に行ってきました。

西洋の絵ってでかい。

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https://artexhibition.jp/london2020/

場所:国立国際美術館(大阪・中之島

会期:2020/11/3~2021/1/31

時間:月火水木日9:00~17:30、金土9:00~20:00

観覧方法:1時間ごとの日時指定制(定員あり)の券を事前に購入、鑑賞時間1時間で観覧を終えるようにとの案内。間隔を空ける、マスクは鼻までする、私語を避けるようにとの注意も。館入口にて消毒、サーモグラフィーカメラによる検温システムあり。

音声ガイド:古川雄大さん

スマホにアプリDLしてから行ったら他のお客さんが使ったあとみたいな共用の機械借りずに済む、600円ぐらい。

 

  ずーーーーっと行きたくて見たくて堪らなかった展示会だったのですがコロナで流れに流れてようやく行けました…今行くのもはばかれるんですけど、この機会逃したら絶対見れないなんなら海外旅行しばらく無理だしこんな機会またとないだろうな………でそれぐらい貴重な作品の数々でした。全部日本初公開ですってよ。太っ腹すぎるぜナショナル・ギャラリーしかも実家に帰るの待っててくれてるってことでしょ……厳しい状況で企画出資開催頂いた各方面の方々に感謝。

  土曜日の開館直後の回に観覧したのですが、最初の観覧スペースで混雑があった(入口はどうしても詰まるよね…)だけで、あとはゆとりを持って観覧出来ました。ちょっと観覧順路わからない所あったけど…

 

  構成はロンドン・ナショナル・ギャラリーのイギリス市民が作った美術館という特色を活かして、イギリスとヨーロッパ各国の西洋絵画交流の歴史を辿る内容になっています。目玉のフィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」もそうなんですけどとにかく「なんか教科書で見た事ある」という有名で質の高い絵画が多いです。絵画収集当時のイギリス経済がいかに強くて潤っていたかが伺えました。イギリスにおける絵画の流行の流れも堪能できます。海洋国家絶頂期には異国の風景画が流行ったとか肖像画書いてもらうのが流行ってたとか。

 

  私のお気に入りはムリーリョ「窓枠に身を乗り出した農民の少年」、クロード・ロラン「海港」、ピエール=オーギュスト・ルノワール「劇場にて(初めてのお出かけ)」です。「ひまわり」は思ったよりでかかった。西洋絵画ってキャンバスで書くからこそなんでしょうけど大きいですよね。端から端、細かいところまでキャンバス全体にしっかり絵の具つけて描きこまれてます。私が描いたら端の方とか「もうええわ」って雑に描いてしまうわ…画家ってすごい(当たり前です)。見た絵画全部良すぎてミニ図録(1400円ぐらい)買いました。

 

  圧巻の作品郡でした。ロンドン・ナショナル・ギャラリー美術品は全2300点と今回来日したのはごくごく一部とのことで……できれば本場に行きたいです。海外特にヨーロッパの美術館オシャレですよね……今回の展覧会で下火な美術業界が少しでも元気になって次回の開催に繋がれば、と切に願います。

【映画】「悪魔の手毬唄(1977年)」を見ました※ネタバレ無し

前近代感が残る当時の田舎の世界観がすごい

 

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映画のポスター?よりDVDのパッケージの方がかっこいい()

監督:市川崑

原作:横溝正史悪魔の手毬唄

公開:1977年4月2日

ジャンル:ミステリー、サスペンス

ざっくりあらすじ:岡山県警の磯川警部(若山富三郎)の依頼で20年前に起きた殺人事件の調査を依頼され岡山県の鬼首村(おにこうべむら)を訪れた私立探偵の金田一耕助石坂浩二)は、村に伝わる手毬唄になぞらえた連続殺人事件に遭遇する。

 

 「アンナチュラルのアマゾンプライム配信見放題終わるやん」とドラマ視聴5周目キメていたらPrimeVideoくんが「これも見たらええよ」って勧めてくれたので見てみました。横溝正史先生の原作は読んでおりません。今絶賛有栖川有栖先生の「作家アリスシリーズ」読破目指して邁進しているところですが、作品内にちょくちょく過去の推理小説の名前が挙がっていたりするので読むか見るかしてみたいなとも思っておりました。名作傑作ってほんときっかけがないと読まない見ない性分で・・・といいつつ嫌々見たくはないなとも思う今日この頃。。。

 

 横溝正史先生の金田一シリーズは様々な方によって何度も映像化されてて「石坂浩二版の犬神家がいい」とかどうとかよく聞いて(SNSか?)ました。「犬神家の一族」は確か遠い昔(小学生ぐらい)に稲垣吾郎のドラマの方を見たんだったか。。。とにかく演出が気持ち悪かったという印象だけ強烈に残ってます(湖で逆立ちしてるやつと菊人形)。それ踏まえて今回の「悪魔の手毬唄」です。「犬神家の一族」と共通してるのは家紋だったり童謡だったりになぞらえて殺人が起こるいわゆる「見立て殺人」にどちらも分類されることですね。金田一シリーズの鉄板なのかな。

見立て殺人 - Wikipedia

 あととにかく関係図がややこしいですね、この人はこの人の子どもで誰それの家の子と結婚する予定だとか家同士仲が悪いとか・・・金田一さんの推理の仕方はこの関係図を整理しつつ、過去を探って「誰が殺人を犯すことで得をする、悲願を遂げられるか」と事件現場の状況よりは動機を探る側面が大きいですね。犬神家もそうだった気がする。。。遺体発見現場が壮絶な演出してる割にあっさり現場検証終わるなあと思いました。

 

 物語の内容はさすがに原作の知名度からして保障されているとして、なんといってもこの作品の魅力は演出ですよね。フィルム映画らしい暗めの映像も相まって、古い因習の残る田舎の雰囲気が出ています。黒一色の画面に白で力強いフォントで書かれるクレジットは白黒映画を想起させ、そののちに白黒のインサートが入る演出がスリルを味わわせてくれます。

 それでもってとにかく遺体発見現場の凄惨さがまあとにかく映える。手毬唄になぞらえて様々なアイテムが登場するのですが、「ふつう死んでるところにそんなもん置かんやろう」というそれらと遺体の対比、不釣り合いさが気味悪いです。遺体のシーンは見終わってみると短いシーンですが、インパクトだけでもって強烈に印象に残らされてしまいます。なにも、シーン引き延ばすだけ延ばしたところでインパクトがなかったら印象残らないものは残らないですもんね・・・監督すごいな。それだけあって遺体発見現場はあっさりで関係探りまくる金田一さんがちょっと滑稽なようなーーーそれが彼の魅力でもあるのでしょうか。

 

 のちの映像作品に大きな影響を与えた作品であることは間違いないかと思うので、今後の映像作品視聴でも気にかけてみたいと思いました。

 

【漫画】「呪術廻戦(2018年~)」既刊13巻まで読みました

吹っ飛ぶ戦闘。重い遺言。心の持ちよう。

 

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www.shonenjump.com

作者:芥見下々

連載:2018年3月~

ジャンル:少年漫画、ダーク・ファンタジー

ざっくりあらすじ:常人離れした身体能力を持つ高校生の主人公・虎杖悠仁は祖父を亡くした夜、学校内で人を襲う化物・呪霊から部活の先輩を救うため校舎に乗り込むが、窮地に立たされてしまう。呪力を持たず呪霊に対抗できない悠仁は、呪力を得ようと自ら呪物「宿儺の指」を食べ、最強最悪の「呪いの王」・両面宿儺を取り込み制御することで窮地を脱する。そのあまりの呪いの強さ故に20本の指に分けられ封印されていた両面宿儺を取り込んだ悠仁は呪霊を祓う術士・呪術師らから目をつけられ、死刑を宣告される。「全ての宿儺の指を取り込んでから死ぬ」と猶予を与えられた悠仁は「お前は強いから、人を助けろ」との祖父の遺言を胸に、呪いを祓う呪術師として、一歩を踏み出す。

世界観とか 

 放送中のアニメ見ながらぼちぼち原作読んでました。「全然"ざっくり"ちゃうーーーーー!!!!」から分かるように紛うことなきダーク・ファンタジーですね。世界観の設定でいかに他と差をつけるか。戦闘シーンは呪いが人間の負の感情起因のもので、固有結界(多分名前違う)の術があってマイナス×マイナスはプラスになるから強いとか…で「どうして強いのか、勝てるのか」の理屈もしっかりありつつ「難しい要素ありますけど、こうして勝てます」とコマの画で押し通す強さがあります。結構範囲広めの戦闘シーン(学校の土地の端から端まで吹っ飛ばすとか)です。あれ………TENETでは?これ??

ryasyaka-66.hatenablog.com 

好きなところ

 この間まで普通(ちょっと違うけど)の高校生してた子が違う日常に足を踏み入れるきっかけーーーなんか綺麗に状況面と心情面で二面的に導入が始まってますよね。日常が非日常に変わる瞬間は、学校で呪霊が暴れてることもあっただろうけど祖父の遺言(これがまた重たい)も充分きっかけですよね。悠仁にとっては自分の心構えが変わる瞬間でもあったわけなんだなあ。そこに思春期の高校生らしさを感じました。いとおしい。

 かつては、それこそあまり大きな声では言えないような少年漫画の二次創作を読んだりしてたんですけど、少年漫画の子たち(特に未成年)に「いやもうそんな世界とか背負い込まんでええからご飯しっかり食べて暖かくして寝て」という感情しか得られなくなったら、もうその辺りはあまり受けつけないな…と歳食ったなと思いました。

 主人公・虎杖悠仁(と中の人・両面宿儺)と呪術高専の同級生・伏黒恵(生まれが複雑)、先生の五条悟(呪術師最強、顔も強いイケメン)中心に物語が進みます。呪術師には遺伝由来の要素もあって、家系とかお家由来の複雑な要素がキャラクターを際立たせます。

 五条先生がかっこよくて最強すぎるんですけど、私の好きなキャラクターはナナミンこと七海健人です。クールでスマートながら、人情に厚い男です。アニメ出てくるの楽しみだなあ。結構重めな過去背負ってて「うおおん」ってなりました。どこまで映像化するんかな。

 両面宿儺は2chの洒落怖のまとめで読んだのが初めましてだったんですけど出典は日本書紀、その他伝承です。日本書紀だと「最強最悪の呪い」と言われるほどそこまで悪いやつじゃないような…?呪術廻戦の手を貸したり貸さなかったりする彼の気まぐれさがそれを表現してるのでしょうか。

http://www.mars.dti.ne.jp/~techno/column/gamen.htm

 

 主人公と彼を取り巻く魅力的な仲間、お馴染みクソデカ感情()、死と隣り合わせの世界観、目まぐるしく変わる展開が少年漫画らしく心地いいです。アニメも漫画も続きが楽しみです。

 

追記

 これ書いてる間にマルイコラボの服装がTwitterで「ナナミン」がトレンド入りするぐらい散々言われてて笑ってしまった。ファッション系とコラボする時はスタイリストとかファッション強い人臨時で雇った方がいいのでは………

https://twitter.com/animejujutsu/status/1328627465955074049?s=20

【小説】二条城の金魚と、最近読んだ本3冊

二条城のアートアクアリウム展に行ってきました。

https://artaquarium.jp


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とっても見応えありましたー、3・4年ほど前にも行ったのですが通路が広めになってました。あれだけ沢山の金魚、メンテナンス大変だろうなあ。圧巻の光景。大きい金魚から小さい金魚まで種類も沢山おります。羽衣って子がかわいい。ピンポンパールちゃんも可愛いです。

 

生憎の雨で土日なのもあってめちゃくちゃ混んでましたね、ソーシャルディスタンスとは……。時間指定入場なだけで入れ替え制じゃなかったので先に入った方がたまるたまる。

 

「金魚買いたい」となるんですけど金魚鉢で飼うのは難しいんですよね、夏を越せないんだ……二条城アートアクアリウム展は12/7まで開催中です。平日の夜をオススメします。

 

今回は最近読んだ小説3冊の感想。有栖川有栖の作家シリーズを文庫で出ているのを全部読み切ろうと邁進中ですが途中寄り道したのでその辺を紹介。

 

「イマジン?」著:有川ひろ

www.amazon.co.jp

 

ジャンル:仕事・ラブコメ

有川ひろ名義になられてから初めて読んだお話。映像制作スタジオの現場と新人ADの男の子のお話です。先生の「お仕事」のお話がとっても魅力的で「うわー、こういう所で働きたいーー」と毎回なります。悪い人がいないですよね、ほんと。

主人公の良井良助(27)が前向きでとっても元気で好感しかない。作品作りに情熱を捧げるスタジオの仲間たちの姿も眩しい。映画・ドラマなどの現場毎の短編になってます。中には「あ、あの作品の現場の話だーー」と嬉しい場面も。主人公が現場を重ねるたび様々な人と出会い、周囲に支えられ、成長する姿が描かれています。めちゃくちゃ取材されてる感。元気が出る作品です。

 

「ホワイトラビット」著:伊坂幸太郎

https://www.amazon.co.jp/dp/B08BL3ZBKW/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

ジャンル:ミステリ・フィクション

誘拐請負ビジネス(!?)に加担する主人公の妻が誘拐されて、助けに行く話。没入感がすごいです。気づいたら読み終わってました。毎度どうしたらそんな職業の話が思いつくのか不思議で仕方ないです。レ・ミゼラブルの話がしょっちゅう出てくるのですが全く読んでなくても大丈夫です。メルヘンと物騒が入り混じってとても楽しかったです(語彙力が失われる音)。黒澤さん首折男以来ですね、お元気そうで何よりです。タイトル回収の力がすごい。

 

「たゆたえども沈まず」著:原田マハ

https://www.amazon.co.jp/dp/B086KQNW72/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

ジャンル:芸術・フィクション

パリで日本人美術商として日本美術を欧州に知らしめた立役者・林忠正フィンセント・ファン・ゴッホとその弟で画商のテオドルスの兄弟が出会っていたら?から始まる実在する人物を描いたアート・フィクション。ゴッホはもちろん、日本の浮世絵と印象派を中心とした19世紀末の芸術史をパリの街とともに垣間見ることができます。

ゴッホの兄弟ですがとても扱いがめんどくさい感じです。兄の方は弟からの仕送り使い倒して絵は全然売れないし、弟は「兄の絵が売れないのは僕の責任だ、もしどうしようもなくなったら兄を殺して自分も死のう」という感じで病んでます。その兄弟あって、林忠正のカリスマ性がきらりと光ります、がこの人もプライドの高さゆえに扱いづらいです。彼の弟子の加納重吉(オリジナルのキャラクターです)のまだパリにもビジネスにも不慣れで平凡さが抜けない感じがまた救ってくれます。

読書楽しい作家アリスめっちゃあるね

読書の秋ですね、もう冬みたいに寒いですけど。ジャンル拘らず手広く読んでみたいですね。引き続き作家アリスシリーズ読みながら寄り道も楽しみたいです。まだシリーズ半分もあるの、わくわくするなあ。つか速攻30年分の著作集めて読んでるの本当にやばいですね。

ハマりすぎでは。読み終わったら色んなランキング形式(好きなタイトルとか装丁とかこのアリス先生がかわいいとか)でご紹介したいです。

 

それでは。

【映画】「罪の声(2020年)」を見ました。【ネタバレなし】

犠牲になるのはいつも―

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原作本の表紙が好きすぎてだな・・・で落書き



監督:土井裕泰

原作:塩田武士(講談社文庫「罪の声」)

公開:2020年10月30日

ジャンル:ミステリー、フィクション

ざっくりあらすじ:1984年、関西圏で誘拐・脅迫・毒物混入と食品会社を標的とした一連の事件が発生。関西弁を混じえた脅迫文書、子どもの声を使用した身代金要求、どこか掴みどころのない――犯人はユーモア混じりに警察・マスコミを煽り、世間を賑わせた。攻防は一年以上続いたものの犯人逮捕に至らず、事件は未解決のまま時効を迎え「戦後最大の未解決事件:ギンガ・萬堂事件」として多くの人々の記憶に刻まれた。

 そんな「ギンガ・萬堂事件」から35年、平成から新しい元号を迎える頃、大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)はこの未解決事件の真相を探る特別企画班として取材に各地を飛び回る毎日を送っていた。同じ頃、京都市内で紳士服のテーラーを営む曽根俊也(星野源)は父の遺品から「1984年」と書かれたカセットテープと大量の英文に「ギンガ」「萬堂」の文字が書かれた黒革の手帳を見つける。カセットテープを再生すると、聞こえてきたのは身代金の受け渡し場所を告げる幼い頃の自分の声であった。

 

TVドラマの「アンナチュラル」と「MIU404」のヲタクなので当然見てきました。このチームなら、原作と乖離することも無いだろうと全幅の信頼を寄せているので敢えて原作読みませんでした。その代わり、この作品の事件のモデルとなった「江崎グリコ・森永事件」をちょろっと調べてから見ました。事件当時、私はこの世に生を受けておりませんでした………この年表とか抑えてたらどれだけ残忍で奇妙な事件が分かるかと思います。

https://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/file001/glico-morinaga/history.html

有名な劇場型犯罪なので名前とか概要とかは存じ上げておりましたが、憶測とか調べれば調べるほど気味が悪いですね…

 

でやっと作品の話なんですが、ジャンルはミステリーです。点と点が繋がって真相と強烈なメッセージが浮かび上がる……ミステリーらしいとてもシンプルで洗練された展開の脚本は流石野木先生というか。原作もめちゃくちゃ面白いんだろうなと思います。購入はしているのでまた読み終わったら映画の話の構成をちょくちょく混じえた感想書きます。

 

というわけで今回は役者さん中心に主に演出のことを書こうかなあと思うんですが……まずビックリするぐらいキャスティングが「アンナチュラル」と「MIU404」の…らしい、というからしすぎる!!何も事前にキャスティング見てなかった(調べたけど忘れてた)のも悪いですけど橋本じゅんさん出てきたところで「ええ!?」ってなった。劇場もざわついていました。めちゃくちゃハラハラさせられる役どころです。こういう人いるよね〜と思わせるのはさすが。

 

主演お二人について。別々の立場から真相を探っていく感じでお話が進むんですけど星野源の京都弁が自然で優しくて「あ、あの東山ら辺の商売人の上品でええとこのやつや〜」ってなりました(えせ京都生まれより)。方言指導の方、ありがとうございました……人柄は大変な人たらしです。この人たらしに、とても頭と口がまわるクールな男前の小栗旬が映えます。あと曽我さんは阿久津さんに軽率にそういうことを言ってはいけません……なんだこの二人の世界(敬称略ですみません)。

 主演お二人の綺麗どころの光る演技が目に入るのは当然なんですけど、何よりこの役者さんの存在が欠かせない――宇野祥平さん………!頭の先から爪先までかんっっっっぺきでした。超絶ネタバレになるかもしれないので何も申し上げられないんですけど一言だけで言うと「なんじゃこの再現度」です。演技に衣装も合わさって気持ち悪い(※褒めてます)ぐらいそれで大変な存在感でした。制作陣の拘りが垣間見えました。個人的注目ポイントは道頓堀でのシーンの彼の靴です

 舞台風景の明暗、過去現在と対比がよくわかる作品でもありました。80年代の映像と音声の使いどころが気味悪さをさらに際立たせます。「声」に焦点を当てた作品なだけあって音声にかかわるアイテムが映える音声・映像になっています。

 

センセーショナルで過激な事件の舞台の影で傷つき悩み苦しんだ人々の物語を丁寧に紐ほどき、彼らにふさわしい構成・役作り・映像美術・音声技術・衣装で彩った職人の「技」が光る映画でした。

 

それだけに私の頭が冴えまくって早い段階でオチが分かってしまったの辛すぎた・・・

原作読みましたらまた物語の内容にも触れた記事を書きますのでそれまで、また。。。